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【次号予告】第5次「精神医療」第20号

特集 精神保健福祉法改正―2022年改正で何が変わった?―

[責任編集] 栗田篤志+太田順一郎

 

 令和4年12月、精神保健福祉法は10年ぶりに改正された。令和3年10月、厚労省は「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会(以下、安心検討会)」を発足させ、「にも包括」、「第8次医療計画」そして「精神保健福祉法など関連法規の見直し」の検討を始めた。「安心検討会」は13回にわたる会合を経て、令和4年6月9日に報告書を提出した。報告書では、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を中心に、「精神保健に関する市町村等における相談支援体制」「精神科病院に入院する患者への訪問相談」「医療保護入院の必要最小化」「家族等同意の見直し」「精神医療審査会の機能向上」「患者の意思に基づいた退院支援」「不適切な隔離・身体的拘束をゼロにする取り組み」「精神科医療聞ける虐待の防止」など精神保健福祉法の改正が必要な様々な課題が示された。これを受け、令和4年10月政府は様々な障害者支援に関連した「障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案」を国会に提出し、同年12月に改正法案は採択された。

 本誌では、法改正直後(つまり実施前)の令和5年4月、今次法改正に関する特集を刊行した。それから2年半が経過し、令和6年4月実施の改正項目もすでに実施後1年半を経過した。今回の改正項目の中でも、精神保健相談の体制整備(重層的支援)のための方策とその実効性、市町村長同意を発動し易くしたことの功罪、虐待加害者の家族等同意を認めないとしたことによる混乱、医療保護入院の入院期間を決めたことの臨床現場への影響、新しく始まった入院者訪問支援事業の実施状況及び評価、精神保健福祉法において虐待防止の取り組みを行なうことの評価、などすでに多くの領域においてさまざまな議論が起きている。今回の特集では、実施後1年半を経過して、今回の法改正が私たちの臨床現場にどのような影響を及ぼしているのか、わが国の精神科医療・保健・福祉にどのような変化が起きているのか、その実情を共有し、次回の改正に向けて議論を深めたいと考えている。

 

《目次》【巻頭言】太田順一郎/【特集】[座談会]2022年精神保健福祉法改正で何が変わったのか…山田悠平+八尋光秀+栗田篤志+太田順一郎/[論文]藤井千代+北村 立+池原毅和+関 正樹+木村朋子+木本達男+木原育子/【連載・コラム等】[視点]「精神科病院における不祥事」原昌平/[連載コラム]「精神科医を辞めてみました〈10〉」香山リカ/[連載]「バンダのバリエーション〈19〉」塚本千秋/「世界の果ての鏡〈9〉」太田裕一/[リレー連載]「同人のいる風景〈5〉」簑島豪智/[書 評]塩満卓『ケアの脱家族化(法律文化社)』/吉池毅志[投稿・エッセイ]「前照灯としてー森山先生との45年」東谷幸政/「なぜ『物盗られ妄想』なのか」越智裕輝/ 【編集後記】栗田篤志

                        

2026年1月20日刊行予定